【小説】着信ナシ
正直面白くも無いし今更なんでアップする必要があるのかと小一時間・・・
とりあえずあれだ、暇つぶしに。
昔書いたやつだから文節というか色々おかしいと思うケド・・・。
では
「着信ナシ」
この携帯を使い続けてもう1年になるだろうか。私が格安アパートに住み始めて3ヶ月たった時のことである。
◇
私がユキと一緒に買い物に行った昼時のとき、それは起きた。
「そうそう、トモコさぁ、昨日電話したのになんででなかったのぉ?」
突然、私がファミレスのカルボナーラを口に入れたとき、ユキは聞いてきた。
「ぇ?昨日、電話?」
口をもごもごさせながら私は言った。
何故なら昨日、電話なんてかかってきていないのだ。私は口に入れたカルボナーラを飲み込んで
「本当に電話したの?」と聞いた。
「うん、だってほら、トモコいつも起きてる時間にしたんだし、ちゃんと履歴だって・・・」と言いながら、発信履歴を見せてきた。
確かに、私の名前と携帯番号がある。しかし、昨日は本当に電話が鳴っていないのだ。ここで多分、マナーモードじゃないの?と突っ込む人も居るだろうけど、
私はマナーモードにしない。
「んー・・・でも本当に鳴ってないし・・・」と、ひょっとしたら昨日かかってきたのではないかと思いながら曖昧に答えた。
「マジぃ~?じゃあそっちの履歴みしてよ。」
確かにこれが証拠になるだろう。なので私は携帯を開き、着信履歴を開いた。
そこで、ある異変に気づいた。
「あれ?」
そこには、携帯を買った当時と同じ、何もなかった。いや、なくなっていた。
私がいつまでたっても見せないのに苛立って、ユキは強引に携帯を覗いてきた。
「あ~!どうせかかってきたの気づかなくって消したんでしょ?」とニヤつきながら話しかけてきたが、私は無視をした。
背筋が寒くなる感じがした。思わず、履歴のページを閉じた。
更に、異変が起きていた。
いつも見慣れた、私の飼っている猫の待ち受け画像が変わっていた。
正確には画像ではなく、一つ一つ、念入りに細かく書かれた、人の名前の写真だった。そして、その人の名前を見て、背筋が凍りついた。
神前ユキ、大山カナ、遠藤サヤカ・・・などと、私の友人の名前が並んでいたのだ。
「え・・・?」ユキも思わず声を上げたようだった。ただ、その声は、私には入っていなかった。
私は、気絶した。
◇
目が覚めて、そこは白いベッドの上、白いカーテンの窓、白い天井。
ここが病院だというのに気づいたのはその30秒後だった。そして、無意識のうちに携帯を手に取り、開けようと思ったとき、あの時のことがフラッシュバックのように甦った。
「あ・・・・ぁ・・・・」
頭が痛くなってきた。耳を塞ぎ、目を閉じたときと同時に、携帯が鳴り出した。
「あ・・・・」さっきと同じ声量で、外殻の液晶に映った名前を見た。
ユキ、だ。
「もし・・・もし?」声を震わせながら電話に出る。
「あ、起きたー?ずっと寝たきりだから心配したよぉ。大丈夫ぅ?」
ユキの明るい声が、耳に響く。ふっと、安心した。
「大丈夫・・・」
あまり元気のない声で、私はそう答えた。
「大丈夫とは言えないよその声。ま、何か食べたいものがあったら言って?食べれば元気になるよ!きっと。」
「うん。じゃあ・・スープスパがいいな。」
「それが気絶した人の復帰後に食べるモンなの?」
「いいじゃん」
「そうだね。じゃあ買ってくよ。じゃーねー」
「うん、じゃあね。」
短い会話だったが、私は嬉しかった。
誰も居ない、個室の病室ほど、怖いものはないと感じた。静か過ぎて、何かに襲われそうな気がした。
そして約40分たったころ、ユキが来た。
「めんご!遅くなっちゃった。」
と言って、私の注文したスープスパを取り出して、テーブルの上に置いた。
「ありがとー」
あまり声量の上がらない声で、私は感謝の言葉を言った。
そして、スープスパの入っている蓋をあけ、食べたとき。私は涙がこぼした。
暖かかった。
ユキの優しさと、スープスパの温かさが。
その日は、小学校以来に二人で寝た。
◇
退院後、私はユキの葬儀に出た。
ユキは、死んだ。
交通事故だった。
私は、泣き叫んだ。
そして葬儀のちょうど一週間後に、私の友人、カナが死亡した。
そしてそのまた二週間後、と友人が次々と死んでいった。
友だちの、電話帳が不必要になっていったので、消していくことにした。
そこで、私はあることに気がついた。
友人の名前は、あの、待ち受けになった名前の左端から順に、一週間がプラスされて死んでいっていることを知った。
私は、葬式の回数から、疲れが溜まり、職場から1週間休みを貰った。
「はぁ・・・」
溜め息しかでなかった。何故なら一番最初に死んだのが、ユキだったから。
ユキは小学校からの付き合いで、幼馴染で・・・
そんなことを考えていると、涙が溢れてきた。
いつまでも、ともだちでいようね。
と、小学生のころに約束をしたことをふと思い出した。その約束は現に叶っていた、が・・・
「・・・酷・・・すぎる・・・」
泣きながら、呟いた。
沈黙した、静かな空気の中に、ピンポーンと、インターホンが響いた。
「!はぁーい」
涙を拭いて、玄関に立ち、ドアを開けた。
誰でもいいから、話したかった。
「あ、中島さん。今日は少し話したいことがあるんでちょっと、うちに来てもらえませんか?」
と言うはこのアパートの大家の人で、話があるというので行くことにした。
大家さんの家は綺麗で、思わず、うわぁと声をあげた。そしてソファーに座って、大家さんは話をしてきた。
「中島さん、すみません。あの部屋、実は昔、自殺者が居たことを話したくって。」
「え?」
思わず声をあげた。そんな話聞いたことない。
「どういう・・・ことですか?」
おそるおそる聞いてみる。
「いやね、実は・・・あの部屋は独りの大学生が住んでて、自殺したんですよ。」
「そんな・・・それじゃあの部屋には霊が取り付いてると?...」
怖くなって、思わずそんなことを聞いた。
「それは、わからないです。」
「わからないって・・・ふざけないで!」
私は大声をだして、そう言った。
「私はあそこに暮らしてから友達がもう3人死んでるのよ!」
「だから私は、あの部屋を出て行ったほうがいいんじゃないかと思って今回の話をしたわけですよ。」
うっ・・・、まぁ確かにそうなのだろう。コレは親切だ。
「じゃあ、今日限りで、あの部屋でていきます・・・。」
私はさっきとうってかわって小声でそういった。
そして、その部屋にはもう二度といっていない。
◇
私には彼氏ができた。職場で知り合ったのだ。
友人が死ぬペースも遅くなってきたので、大分きつい生活ではなくなった。
私の彼はミノルという。ガタイのいい私好みの好青年だ。
そんな彼の部屋に私は同棲している。
私は彼と結婚を考えていた。
ある日、私は妙な夢をみた。
あの時の待ち受けの画像に携帯がなっていた夢だった。
その画像には、死んだ人の名前には、赤色で、取り消し線が入っている。
そして残りの人を数えてみたら後15人だった。
そして、そこにあった最後の名前を見て、私は驚嘆した。
『岩崎ミノル』
彼の名前があったのだ。
私は、彼がいつか死ぬのかと考えると、怖くなった。
そこでユメは終わった。
これはユメではなかったのかもしれない。
◇
彼は、仕事に出かけたきり、帰ってこなかった。
それは、死を意味したのだった。
そして、私の携帯の電話帳には、一件もなくなった。
独り。一人。ひとり。
死。
彼と過ごした、部屋の中。
太い丈夫そうな柱に、ロープをひっかけて、輪を作った。
後は、私がその中に首を入れるだけで全てが終わるのだ。
そして、死んだ。
◇
音もなく、彼女の携帯に一つの通知がいった。
メール 一件 あり
From:
件名:はじめまして
本文:はじめまして、僕の友だち。ありがとう。
僕の、友だち。
そしてその携帯は力尽きた。
End